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そもそもバチスタとは何か?

バチスタ手術とは

閑話休題というわけではないが、ただ気になる事があるので少し触れておきたい。この田口・白鳥シリーズを執筆している原作者は、今でこそ退職しているものの原作が発売された時はまだ現役の医師として活動していたことは意外と知っている人が多いでしょう。そのため医学会について、また医療業界についても非常にシビアな視点を持っており、実際に起こりうるからこそ危険なんだという訴えが事細かに表現されている。事実、医療ミスや事故が発生している点を考えると、作者から見た業界の状況は見事といったところだ。

リアリティ満点の作品を描くことに成功した今シリーズだが、その初期作でもあり、またドラマシリーズ一貫を通して使われている『バチスタ』という言葉に焦点を当ててみよう。いやその前に『バチスタ』とは一体何を指しているところから始めなければなりません。内容を知らなければその意味を読解することも出来ないので、ここでちょっと取り上げておく。

端的に言えば、『バチスタ手術』と言われる心臓の『左室部分切除手術』であり、具体的に言うと心筋梗塞の後に発生する合併症で、拡張型心筋症などの高度左室機能不全を伴っている慢心心不全に対する左室形成術の一術式となっています。一般的にはこう言われていますが、理解できる人がどれくらいいるかだ。

恐らくこのように言われても納得できる人はほんの僅かと見ていいでしょう。流石は現役医師が執筆しただけのことはあるというものだが、どうしてバチスタ手術がピックアップされたのかという話にもなる。この病気、知られていないだけで非常に執刀が難しい病気となっており、行うにしても専門のスペシャリストが何人と集結して執り行われているのです。

田口・白鳥シリーズをきっかけとして、バチスタとは何かを知ってもらえたとして業界的にはありがたいと感じている面もあるという。

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バチスタ手術の可能性

バチスタ手術が登場し始めた当時は、心不全などの重度の心臓病が発症した場合はもはや手の施しようがないというほどのものでした、特に日本では20年前となると脳死も認められていない、移植についてもNGといったように医療という面では諸外国と比べて後進的な面が多々見られていたのも懐かしい。今でこそ脳死が認められるようになり、移植についてもまだ国内で実施できるかというほど整備されてはいないものの、段々と可能性を示唆する程度には成長の兆しを見せていた。

今でこそバチスタ手術も作品が広く知られたことも影響して、命を救われる人も増えていきました。それもそう、移植にしてもドナーが必ずしも見つかるとは限らず、移植手術については発展を続けていたアメリカでさえ、バチスタ手術がまだ認知されたばかりの頃はドナー不足が深刻な問題として抱えていたのです。そうした中で研究・開発された手術は世界の医学へと大きな影響を与えたのです。

バチスタは人の名前

バチスタ手術を考案した人物についても考えてみよう。この手術を考案したのは『ランダス・バチスタ博士』という人物であり、バチスタ手術とは彼の名前が由来となっていた。そんな彼の活躍を聞いて、とある日本人医師は実際に彼の元へと技術を学ぶために渡航したという。けれどそこは真っ当な医療環境が行えるようなものではない、非常に劣悪なものだった。

バチスタ博士はブラジルで活動していましたが、手術室は太陽光線が入り込むように工夫されていて、それを頼りに部屋を明るくして手術が行われていたのです、日本のように無影灯も有りましたが、非常に暗く陳腐なものが一個あるだけで部位をまともに視認できないほど。昼間ならまだしも、夕暮れ時まで差し掛かった場合どうするのかというと、光がないからといって止めることも出来ないため薄暗い中で手術が行われていたというのです。緊急手術についてもそうだったので、患者の命が保障できない環境だった。

だがそんな環境でありながら手術としては成功例が大多数で、殆どの患者が重度の心不全を患いながらもバチスタ博士の技術研鑽によって完成された手術技法により、命を救われていったという。恵まれた環境でまともに技術を確立することが出来ない医師に比べれば、環境改善ということすら困難な現場に置かれながらも人命を救い続けてきたランダス・バチスタという医師は、まさに稀代の名医と言えるでしょう。

紆余曲折ありながら

バチスタ手術を知っていた人は当時、それほど多くはなかったといえる。それを世間へと広めたのは、まさに田口・白鳥シリーズの影響といえるでしょう。内容はミステリーで、バチスタ手術を行う日本の精鋭中の精鋭たちが集まったチームが、ある時三例の医療事故によって患者を死なせてしまうという事故から物語と同時にシリーズ全てが開幕していきます。

現実的に成功確率は60%とそれほど高くはない難手術がこの世にある、というだけでも知れ渡った点を医学界としては良いことだったと考えているでしょう。これから先医療が進歩すれば、バチスタ手術も先進技術によって進化を辿っていくでしょうから、そういう意味でも期待したいところだ。

劇場版もいいよ